稲上耳鼻咽喉科・気管食道科|津市河芸町東千里の耳鼻咽喉科

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「ダイヤカット缶」をご存じですか

自動販売機などで売られている缶コーヒーの側面にギザギザの模様が入っているものがあるのを皆さんご存知ですか?探してみるとコーヒー以外にもキリンの氷結というチューハイもギザギザがついています。他のメーカーの缶コーヒーにもリング状の加工がされているものがあり、これは何のため?と疑問に感じたので調べてみました。
ギザギザ模様の正体は、キリンの商品に使用されている「ダイヤカット缶」というもので、日本で生まれた技術なのです。
元々は、1960年代に東京大学名誉教授の三浦教授によって、NASAでロケットや飛行機などの構造物の「強度」についての研究から生まれました。それが「ミウラ折り」です。「ミウラ折り」というのは、対角線部分を持って左右に引っ張ると、ワンタッチで展開・収納ができる不思議な折り方で、地図を折る時や小さくたためるエコバッグ、自動車用タイヤなどにも使われています。円筒の上から力をかけて変形すると規則的な模様が現れ、山や谷の折り目に補強されて周りからの力に強くなります。それを利用したのが、ダイヤカット缶です。(ダイヤカット以外にも昔から使用されている「ビード」という輪の構造をつけて強くする方法もあります。)
缶コーヒーは、熱い状態で缶に詰めるため、冷めると中の空気や液体が縮んで、周りから強い圧力がかかります。そのために丈夫なスチール缶が使われていますが、さらにダイヤカット加工をすることで丸いままの缶よりも、厚さが2割薄くても同じ強度を保てるのだそうです。ダイヤカットの方法は、ギザギザ模様を施した二つのローラーの金型で、缶を両側から挟んで折り曲げていきます。折り目を缶の真上から見ると正11角形になっていて、1分間に1600個の缶を生産できる理想の形だそうです。ただ液体を缶に詰めるだけでなく、加工の手間はありますが、資源削減かつコストカットにもつながりますね。

また前述したチューハイの氷結の缶は、開けた途端に収縮が起こり、表面にダイヤ状の凸凹があらわれる、日本初のアルミダイヤカット缶です。缶の強度だけでなく、ギザギザのカットがあることで、すべりにくく持ちやすい形状であるのもメリットの一つです。
普段から目にする身近なものにもいろんな背景や理由があるんですね。ダイヤカット缶を手に取る機会がありましたら、日本の素晴らしい技術を感じてみてください。